インストアプロモーションの概要や活用方法をご紹介
「インストアプロモーションの概要がわからない」「インストアプロモーションの手法をイメージできない」といったお悩みを抱える小売業のマーケティング担当者も少なくありません。
インストアプロモーションとは、店舗内で直接的に商品の認知や販売を促進する手法です。
「値引き」「特売」「バンドル販売」「増量パックの販売」「POP」「デジタルサイネージ」などがあり、売り場のレイアウトや店舗内の動線を工夫するという「スペースマネジメント」に含まれない部分のマーケティング手法を意味します。
インストアプロモーションは、店舗や商品に興味を持っている顧客へ直接働きかけるプロモーションで、近年注目されているカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上にも寄与します。
今回はインストアプロモーションの概要、インストアプロモーションが注目される背景、実際の活用方法、メリットやデメリットについてご紹介します。
インストアプロモーションとは
インストアプロモーションとは、店舗内で商品の認知や販売を促進する手法です。
「POPやポスター広告」「デモンストレーション販売」「サンプリング」など、多くの方法があります。
また、インストアプロモーションは、大別すると「価格主導型」「非価格主導型」の2種類に分けられます。
インストアプロモーションの手法 | 内容 |
価格主導型 |
一時的に低価格に設定し、顧客の購買意欲を高める。「値引きや割引シール」「増量パック」など即効性が高い手法がある。 |
非価格主導型 |
商品やサービスの告知・誘導によって、顧客の購買意欲を高める。「デモンストレーション販売」「POP」「デジタルサイネージ」などの手法がある。 |
インストアプロモーションでは、「低価格の販売をきっかけに商品に興味を持ってもらえる」「商品の使い方や特徴、魅力などを顧客が理解しやすい」「顧客体験価値が向上し、顧客の囲い込みが可能」などの効果が得られます。
インストアプロモーションと他のマーケティング用語の違い
インストアプロモーションと他のマーケティング用語には、以下の違いがあります。
用語 | 概要 |
インストアマーケティング | 店舗を起点に、販売促進や売上拡大を図るためのマーケティングの考え方。 |
インストアマーチャンダイジング | 品ぞろえと陳列で、来店客1人あたりの購買点数、客単価をアップするための具体的な販促手法。 |
インストアプロモーション |
インストアマーチャンダイジングの一部で、店舗内で来店客に向けて行われる販売促進の取り組み。「値引き」「特売」「バンドル販売」「増量パックの販売」「POPやポスター広告」「デジタルサイネージ」「デモンストレーション販売やサンプリング」などの手段がある。 |
スペースマネジメント | 売り場のレイアウトや店舗内の動線を最適化する手法。 |
アウトストアプロモーション |
店舗に来店する顧客を増やす手法。 「看板」「チラシ」「SNS広告」などを活用し、店舗への誘導を図る手法などが挙げられる。 |
効果的なインストアプロモーションを実施し、顧客とリアルにコミュニケーションすることで顧客体験の価値を向上できます。
インストアプロモーションが注目される背景
インストアプロモーションが注目される背景には、以下の2点が挙げられます。
- 顧客の購買体験が重視されている
- 非計画的な購買を促進しやすい
顧客の購買体験が重視されている
スマートフォンやPCから商品が買える時代となり、顧客には「便利さ」を求める層と「体験」を求める層の二分化が進んでいます。
例えば、ECサイトのショッピングは、商品の実物を確認できないため、性能や品質は実際に手に取ってみなければわかりません。
インストアプロモーションでは、商品が置かれたその場で、顧客へその良さを訴求できるため、店内で直接顧客の購買意欲を刺激し、ECサイトにはない購買体験を提供できます。
インストアプロモーションが顧客の購買行動を左右する可能性は高く、重要性が高まっています。
非計画的な購買を促進しやすい
インストアプロモーションは、予定外の購買を促進する効果があります。
来店した顧客は、魅力的な商品やお得な商品があればつい買ってしまうことも多くあります。
インストアプロモーションで提供する情報により、買い物中に必要なものを思い出し、購入につながる場合もあります。
インストアプロモーションで、顧客のニーズを掘り起こし、買い物を後押しすることが可能です。
インストアプロモーションの活用方法
インストアプロモーションの活用方法をご紹介します。
- 値引きや特売
- バンドル販売
- 増量パックの販売
- POPやポスター広告
- デジタルサイネージ
- デモンストレーション販売
- 特典やサンプリング
値引きや特売
スーパーマーケットの「タイムセール」「曜日セール」などにより、購入価格を下げることで、消費者が購入の際に感じるハードルを下げられます。
安くお得に購入できる日を明確化できるため、消費者が購買する際に計画を立てやすくなります。
ただし、値引きが常態化すると、「値引きの時に買えばよい」と消費者に商品を購入するタイミングを調整される懸念があります。
「タイムセール」「曜日セール」を不定期に開催し、売上とのバランスを考慮しましょう。
バンドル販売
バンドル販売とは、顧客が商品を複数個まとめて購入することで割引が適用される手法です。
例えば、「1パック298円の豚肉2パックをまとめて購入する場合は500円」「お菓子を3点購入する場合は1個無料」などの手法が当てはまります。
ただし、バンドル販売のタイミングで顧客が大量に商品を購入する場合は、一時的に品切れが発生する可能性があります。
増量パックの販売
商品の価格は据え置きにしながら、内容量を増やして販売する手法です。
いつもと同じ価格でより多くの商品が手にできるため、顧客はお得感を味わえます。
また、初めて商品の購入を検討している顧客ならお得感が先行するため、購入前のハードルを下げられます。
POPやポスター広告
POPやポスターで広告を取り入れることで、「商品」「サービス」の情報を分かりやすく伝えられるため、顧客の購買意欲を高められます。
例えば、「店舗スタッフのイチオシポイントを記載する」「一番伝えたい情報がショッピング中に視覚へ入る」「写真やイラストを活用して読みやすい工夫を取り入れる」など、顧客が興味を抱きやすい広告を作成できます。
また、POPやポスター広告に加えて「香りテスター」「ヘアカラーの色見本」などを設置することで、実際の商品について体感しながら興味を持ってもらえます。
デジタルサイネージ
店頭に設置したディスプレイに宣伝動画や画像を流し、ショッピング中に視覚や音から訴えることで、顧客の購買意欲を高められます。
ディスプレイ内の情報は自由に表示内容を変更できるため、時間帯やターゲット層に合わせて効果的な広告を表示することが可能です。
ディスプレイなどの電子機器を導入することで、一括で内容を変更でき、「ポスター」「看板」のような張り替える手間がかからないため、店舗の負担を減らし、業務効率化にもつながります。
デモンストレーション販売
商品の使い方や特徴を店舗内で実演し、商品の魅力を顧客に実体験してもらえます。
試食販売なら「味覚」「嗅覚」、非食品の場合は「触覚」「視覚(デザイン面)」などの五感を活用しながら、好みの商品を選べます。
また、売場で来店した顧客の声をヒアリングし、メーカー側にフィードバックすることも可能です。
特典やサンプリング
購入時にお得感を味わえる特典を付け、購買者が喜ぶ体験を店内で演出できます。
また、サンプリングとは、試供品(サンプル品)を消費者に配布して商品を理解してもらい、購入を後押しする手法です。実際に手に取って使用することで、商品やサービスの価値を的確に伝えられます。
例えば、化粧品なら「肌の状態」「年齢」などの変化によって、これまでの化粧品ブランドから変更するきっかけを作れます。
インストアプロモーションを導入するメリット
インストアプロモーションを導入するメリットとして、以下の3点をご紹介します。
- 商品や店舗のファン化を促進し、売上アップにつながる
- 顧客ロイヤルティーを向上できる
- 五感をフル活用した顧客体験を提供できる
商品や店舗のファン化を促進し、売上アップにつながる
インストアプロモーションを通じて、顧客と直接コミュニケーションをとることで、商品の理解を深め、リアルならではの体験価値を提供できます。
顧客は快適な買い物体験を通じて商品や店舗のファンになると、店舗を「楽しく買い物できる場所」「発見がある場所」「お得に購入できる場所」と認知するようになります。
好感を持ってくれた顧客によるリピート購入や口コミは、新規顧客の獲得にもつながり、売り上げアップにも貢献します。
顧客ロイヤルティーを向上できる
インストアプロモーションは、顧客ロイヤルティーの向上にも貢献します。
顧客が他店に流出しないためにも、顧客との長期的な関係性の構築が重要です。
インストアプロモーションを通じて顧客とのコミュニケーションを増やすことで、商品や店舗に対する理解と親近感を得られます。
さらにデジタル技術を導入し、個々のニーズに合わせた商品やサービスを提供することで、顧客の満足度を向上させます。
その結果、商品や店舗に対する信頼と忠誠心を高め、リピート購入や長期的な関係性を築けます。
五感をフル活用した顧客体験を提供できる
インストアプロモーションは、販売する際に購買体験という付加価値を与える手法です。
例えば、化粧品サンプルを手に取ることで、触感や色味をチェックできます。また、食品を試食してもらうことで、おいしさや歯ごたえを体験できます。
五感をフル活用できる顧客体験を提供し、顧客が納得できる商品を販売しましょう。
インストアプロモーションを導入するデメリット
インストアプロモーションを導入するデメリットには、以下の3点があります。
- アナログな手法では効果測定が難しい
- 店舗ごとの施策が必要
- アプリやプラットフォームを活用する場合にコストがかかる
アナログな手法では効果測定が難しい
「POP」「デモンストレーションによる実演販売」などのインストアプロモーションは、販売促進の効果が得られたかの可視化や定量化ができず、効果検証が難しいと言われています。
デジタル技術を導入し、顧客の購買データや行動履歴のデータ収集と分析を行えば、インストアプロモーションの効果測定を効率的に行えます。
「インストアプロモーション」でデジタル技術の導入やデータ分析を行うことで、店舗プロモーションにおける課題抽出、施策立案、効果測定など、PDCAサイクルを素早く回せます。
店舗ごとの施策が必要
店舗によって得られる効果に差が生じるため、店舗ごとに最適なプロモーションを計画することが必要です。
例えば、オフィス街に設置されている店舗なら、「勤務中」「勤務時間の前後」に立ち寄る顧客が多いことが連想できます。
買い物で荷物が増えるため、「まとめ買い」を促すプロモーションは適切ではありません。
また、商品の購入までに時間がかかるデモンストレーション販売も、買い物に時間が取れない顧客には効果的ではありません。
「店舗の立地条件から連想される顧客層」「購買商品数」などのデータを分析し、効果を期待できるインストアプロモーションを実施しましょう。
アプリやプラットフォームを活用する場合にコストがかかる
「スマホアプリからのクーポン配信」「リテールメディアでの精度の高い情報発信」など、アプリや各種ツール、プラットフォームを利用したインストアプロモーションを取り入れる場合は、少なからずコストがかかります。
費用対効果に鑑み、自社に最適なインストアプロモーションを取り入れましょう。
インストアプロモーションの効果測定には「NaviCX」
インストアプロモーションで効果を可視化、定量化したい方は、屋内行動分析プラットフォームNaviCX(ナビックス)をご検討ください。
NaviCXは、スマートフォンの各種センサーとソニー独自のAIを活用した測位技術で、人の行動データを取得・分析できるプラットフォームです。
以下、四つの特長があります。
- 人の「位置」「向き」「滞在時間」「動線/経路」情報をリアルタイムで取得
- エリア連動型プッシュ通知によるきめ細やかな顧客コミュニケーション
- 蓄積した取得データによる、店舗内で起きていることの「分析・可視化」
- 導入までの準備期間が短く、イニシャルコストを抑制
人の「位置」「向き」「滞在時間」「動線/経路」情報をリアルタイムで取得
これまでの位置情報取得ソリューションでは難しかった、顧客の「向き」情報も取得できるため、細かく絞ったターゲットに向けたプロモーション施策を実現できます。
エリア連動型プッシュ通知によるきめ細やかな顧客コミュニケーション
NaviCXは、売場(エリア)連動型広告や販促に活用できます。
顧客が歩いているエリアや向いた棚に陳列された商品のおすすめ情報をスマホアプリのプッシュ通知で配信したり、デジタルサイネージ前で通知を出すことにより、視聴を促すこともできます。
固定されたビーコンのみを活用するよりも、柔軟に配信エリアや配信時間を設定できるため、顧客に対してきめ細やかなコミュニケーションが可能です。
また、配信エリアや通知内容は導入企業の管理者に提供されるツールで設定できるため、初期設定後は現場に出向かずに、ツールの画面上から配信エリアの設定や変更が可能です。ビーコンを増設する必要なく、配信エリアを増やすこともできます。
蓄積した取得データによる、店舗内で起きていることの「分析・可視化」
NaviCXは、導入企業の管理者に提供される「分析可視化ツール」により、店舗内における顧客の行動を分析・可視化します。
蓄積データで店舗内の状況を定量化し、顧客の行動を分析することで、店舗プロモーションにおける課題抽出、施策立案、効果測定など、PDCAをスピーディーに回せます。
導入までの準備期間が短く、イニシャルコストを抑制
NaviCXは、測位に必要なマップの準備が手軽で、設置するビーコンの数も最小限で済むため、サービス導入までの準備期間が短く、イニシャルコストも抑えられます。
現地で行う測位用マップ作成は、ソニーが無償で提供するスマートフォン用アプリケーションを使い、ガイドに従って作業することで手軽に行えます。
詳細は、公式サイトをご覧ください。
店内販促にNaviCXを活用しよう
今回はインストアプロモーションの概要、インストアプロモーションが注目される背景、実際の活用方法、メリットやデメリットについてご紹介しました。
効果的なインストアプロモーションに取り組み、顧客満足度の向上や売り上げ拡大を目指しましょう。