ソニーグループはコロナ禍を契機に、一部の事業所でフリーアドレスを導入。さらに、席に設置したカードにスマートフォンでタッチするだけで座席登録ができる「SEATouch(シータッチ)」を導入することで、在席状況の可視化を実現。座席の使用率を確認しながら、データを活用したオフィスレイアウトの提案、改善を進めています。
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オフィスの有効活用に向けて座席の可視化を検討
ソニーグループは、ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画、エンタテインメント・テクノロジー&サービス、イメージング&センシング・ソリューション、金融を主要6セグメントとして、グローバルにビジネスを展開しています。
国内拠点である、東京都港区港南(本社)、品川区大崎(ソニーシティ大崎)、品川区北品川(御殿山テクノロジーセンター)と、神奈川県横浜市(ソニーシティみなとみらい)、厚木市(厚木テクノロジーセンター)、藤沢市(湘南テクノロジーセンター)、宮城県多賀市(仙台テクノロジーセンター)などにおいて、コロナ禍を契機に、在宅勤務が中心で出社率が低い事務系や管理系部門の固定席を廃止し、フリーアドレスに移行しました。
フリーアドレス化により、アフターコロナ時代の新しい働き方が定着する一方、導入した業務部門からは「出社した社員の誰がどの席に座っているかわからない」「自分が座りたい席が空いているかわからない」といった悩みの声が聞こえてきました。ワークプレイス推進担当の村山智樹氏は「座席の使用状況が可視化されていないため、総務部門としても実態が把握できず、利用者の要望に応えることができませんでした」と当時を振り返ります。
固定の座席でも、利用状況が把握できないことは課題となっていました。オフィススペースを有効利用したい総務部門としては、固定座席の空き状況を把握したうえで、フリーアドレスへの移行を促したいと考えていました。
「在宅勤務が中心で出社人数が少ない部門でも、固定座席のまま運用を続けていることが多く、首都圏エリアでフリーアドレスを採用している部門は1割に過ぎません。そのため固定座席でも無駄なスペースが生まれていると考えられます。多くの部門にフリーアドレスに移行してもらうためにも、座席状況を可視化する必要がありました」(村山氏)
周辺システムとの連携性を評価し「SEATouch」の採用を決断
座席の可視化を目指した総務部門は、複数の座席管理ソリューションを検討する中で、「SEATouch」の導入を決めました。SEATouchは、交通系ICカードなどの社会インフラで使われているFeliCaのインターフェースを採用したソリューションです。利用者は、座席に設置したカードにスマートフォンをタッチするだけで、座席登録ができます。アプリはブラウザーベースのため、利用者はスマートフォンにアプリをダウンロードする必要はなく、個人情報が盗まれる恐れもありません。タッチだけでなくQRコードの読み取り登録にも対応するほか、PCからアクセスできます。
(自由に利用可能な打ち合わせブース。利用者がカードにタッチすることで、利用状況や利用率がわかる。)
大規模運営にも耐えるスケーラビリティ(拡張性)を確保している点も特長で、数10席の実験導入から数万席規模の全社導入まで幅広く対応しています。社内システムに合わせたカスタマイズも可能です。
「SEATouchを採用した一番の理由は、周辺システムとの連携が可能であったためです。ソニーグループの場合、会議予約システム、フラッパーゲート(セキュリティゲート)、セキュリティシステムなどさまざまなシステムを導入済みで、システム間の連携が発生します。その点においてSEATouchはリスクとコストを抑えながら導入できると判断しました。他社の座席管理ソリューションと比較してみても、SEATouchは初期コストを抑えて導入できることも採用のポイントになりました」(村山氏)
(デスクの左手前に設置されたカード)
グループの全社員が利用する社内ポータルとSEATouchを連携
ソニーグループにおけるSEATouchの利用は、2022年4月からスタートしました。最初は本社の間接部門200席と、グループ会社100席の合計300席からスタート。その後、SEATouchを使ってみたいといった要望が寄せられた本社の他部門や、ソニーシティ大崎、ソニーシティみなとみらい、厚木テクノロジーセンターの管理部門に順次展開しました。その後、大阪と福岡のグループ会社にも一部で導入を拡大しました。2023年3月末時点でフリーアドレス席と固定席を含めて、約3万席でSEATouchを導入しています。
カード設置作業は総務部門が担当し、協力会社に支援を要請する形で首都圏の主要拠点や地方の事業所に展開していきました。
「利用者がタッチしやすい場所への設置について工夫を重ねながら1年間で約3万席分のカードを設置することができました」(村山氏)
さらに、グループの全社員が利用する社内ポータルとSEATouchを連携し、ポータルサイト上で出社申請、座席予約、在席状況の確認ができるようにしました。総務部門では、それらのデータを専用の分析プラットフォームに抽出し、会議室の予約データなどとも突き合わせながら、社員の出社率、フリーアドレス席や固定席の稼働率、月の稼働率の推移などをグラフ化して確認しています。
「SEATouch提供元からは、定例ミーティングを通して、システムの改修や分析プラットフォームにデータを取り込むためのカスタマイズに関して定期的にアドバイスを受けています」(村山氏)
勤怠管理システムとの連携により社員の利便性を向上
現在のSEATouchの活用状況は次のようになります。社員は出社して自席を使い始める段階でスマートフォンをカードにタッチして在席登録を行います。退社時も同様にカードにタッチして離席登録を行います。“タッチ忘れ”を防ぐ同社独自の工夫として、2023年4月より勤怠管理システムとの連携機能を実装し、カードにタッチした時点で出勤が打刻できるようにしました。
(タッチすることで在籍登録だけでなく、勤怠管理への登録も)
「今まで出勤の打刻は、PCを立ち上げ、ログインして出勤ボタンをクリックする必要がありましたが、現在はスマートフォンのタッチだけで打刻が可能となり、社員からは簡単になったといった声が届いています」(村山氏)
また、事前に自分の座りたい座席を予約できたり、カードへのタッチだけでなくてカードに印刷したQRコードをスマートフォンのカメラで読み取って在席登録ができたりするのも社員に好評です。
2023年1月のSEATouchのアップデートによって、事業所内のフロア間や事業所間をまたいだ在席検索が可能となり、他の事業所へ出張中の社員の状況までわかるようになるなど利便性が向上しました。さらに2023年8月には、SEATouchの在席登録に加え、フロア内のWeb会議ブースの予約ができる機能を追加。Web会議ブース予約では、空き状況をリアルタイムで確認しながら、15分単位で予約することができます。
(会議室の入口に設置されたカード)
出社率や在席率を見ながらオフィス環境の改善を推進
現在、座席を管理する総務部門では、独自開発の専用分析プラットフォーム上で社員の出社率や在席率を定期的に見ながら、客観的なデータに基づくオフィス環境の改善を進めています。
「例えば、部署ごとで異なる社員の働き方や、利用実態に合わせたレイアウト変更の提案や、在席率が低い座席については座席数を減らしてその代わりに社員からの要望が多いWeb会議ブースを設置するといった提案を各部門にしています。座席の利用状況が可視化されたことで、各部門に対して具体的なデータを示して話ができるため、以前よりレイアウト変更の交渉がしやすくなりました。オフィススペースの有効活用は、コストアップすることなく必要なスペースが確保できることから、費用対効果としても高いものになっています」(村山氏)
現在、デジタルサイネージの導入を検討しており、オフィスのフロア内に設置した大型ディスプレイ上にリアルタイムの座席利用状況やフロアマップなどを表示する予定です。これにより、社員自身でタッチ忘れに気付いてもらったり、座席を利用する社員の利便性を高めたりすることが可能になると考えています。
(オフィスの入口に設置された大型ディスプレイに各座席の利用者を表示)
今後は、ソニーグループ本体だけでなくグループ会社のフリーアドレス化を拡大していく中で、必要に応じてSEATouchの活用を提案していく方針です。さらに、新たな活用領域として、製造系の事業部門から実験室の管理や実験装置の管理でSEATouchを使ってみたいといった声も寄せられており、用途の拡大も検討しています。
「SEATouchはさらなる発展の可能性を秘めていると思いますので、より使いやすくなるように、これからの進化に期待しています」(村山氏)
ソニーグループ
ワークプレイス推進担当
村山 智樹 氏
ソニーグループ株式会社
設立:1946年(昭和21年)5月7日
資本金:8,804億円(2023年3月31日付)
連結従業員数:113,000名 (2023年3月31日現在)
連結売上高:11兆5,398億円
(2022年度)
事業概要:ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画、エンタテインメント・テクノロジー&サービス(モバイル・コミュニケーション/イメージング・プロダクツ&ソリューション/ホームエンタテインメント&サウンド)、イメージング&センシング・ソリューション、金融及びその他の事業
【SEATouch サービス資料ダウンロード】
SEATouchのご提案資料(PDF)がダウンロードできます。