2025年問題は、人材不足、高齢化、大手企業による寡占化、社会保険の適用拡大、そして技術革新への対応といった複数の課題がまとまって発生することを指します。
2025年にこれらの問題の顕在化が予測されていることから、「2025年問題」と呼ばれています。警備業ではどのような問題が発生するのでしょうか?また、それに対してどのような対策が必要なのでしょうか?警備業の2025年問題とその対処方法をご紹介します。
警備業の2025年問題とは?
警備業の「2025年問題」とは、少子高齢化や社会構造の変化に伴い、警備業界が直面する複合的な課題を指します。特に深刻なのは人材不足で、有効求人倍率が高水準で推移している中、2025年には約505万人の人材不足が予測されています。この問題は特に中小警備会社において顕著で、警備員数の減少と採用難がますます深刻化し、事業の維持が困難になる可能性があります。
また、警備員の高齢化も大きな課題です。2025年には警備員の約3分の1が65歳以上になると予測されており、高齢化の加速は避けられない状況です。若い世代の警備員を確保することが業界全体の喫緊の課題となっています。しかし、夜勤や休日出勤が多いという仕事の特性から、若年層の採用は難航しています。
さらに、大手企業によるM&A(企業買収・統合)が活発化しており、資金力を持つ大手企業は人材確保や技術開発を進めやすい一方、中小企業は競争力を失い、経営が厳しくなる可能性があります。このような状況下で顧客単価は上昇傾向にあるものの、警備員の給与は上がりにくく、利益率の低下や人材流出といったリスクも高まっています。
加えて、社会保険料の適用範囲拡大が予定されており、中小企業にとってコスト増加が大きな負担となることが懸念されています。こうした複雑な課題が2025年に集中して表面化すると見られており、警備業界では抜本的な対策が求められています。
警備業の2025年問題への対策とは?
2025年問題は、さまざまな業界への影響が予測されており、警備業界も例外ではありません。ご紹介したような脅威によるダメージを最小限に抑えるためにも、以下のような対策を行うことが大切です。
顧客単価の向上させる
社会保険料の拡大によるコスト増への対策として、営業戦略の見直しが不可欠です。
顧客単価の高い現場を積極的に獲得していくことが重要だといえるでしょう。また、顧客管理システム(CRM)を導入し、顧客基盤の分析・対策を行うことで、長期的な取引関係を築き、収益性を向上させるなどの対策が必要です。
現場の条件を改善する
警備員の労働環境を改善し、定着率を向上させるために、働きやすい労働環境への改善が必要です。
建物内や屋根がある場所など、快適な環境での勤務を増やす、監視システムを導入して遠隔監視が可能な環境を構築するなどの対策が考えられます。また、12時間現場や長期・固定の現場を増やすことで、警備員の業務負荷を軽減する効果が見込めます。
条件面の改善
人材獲得競争で優位に立つために、給与アップや支払い方法の多様化が必要です。日払い制度の導入、入社祝金の支給、寮の提供、日払い額の増額など、各種制度を充実させることが効果的です。さらに、福利厚生の充実も重要な要素となります。
従業員のサポートを充実させる
新規従業員の定着率を高めるため、入社後3か月間は定期的なフォローアップを行い、不安や悩みの解消に努めましょう。
また、退職防止マニュアルなどを活用して退職対応を標準化し、退職理由の分析と改善策を進めるのも効果的です。さらに、公平な評価制度を導入し、従業員のモチベーション向上と定着率の改善を図りましょう。このような施策を行い、従業員の流出を防ぎましょう。
ロボットやAIの導入
警備ロボットやAIの導入は、コストカットや人手不足の効果的な対策になります。
一部の業務をロボットやAIで効率化・自動化することで、省人化による警備体制を整えることができます。コストの増大や人材の流出に備えて、少ない人数で警備が行える体制を構築しましょう。
システム化による業務効率化とコストカット
勤怠管理や給与管理のシステム化により、業務の効率化・自動化を進めることで、少ない人数での運営が可能になります。
雇用形態や勤務時間、給与計算などが複雑になりやすい警備業では、システム化によるバックオフィス業務の効率化が特に重要です。手動や紙によるアナログな手法で管理を行っている企業は、システム化を検討しましょう。
このように、2025年問題への対策は多岐に渡ります。すべての対策を同時に進めるのは難しいため、できることから少しずつ進めていくことが大切です。具体的な対策が行えていないという場合は、自社の課題を明確にして、深刻化が予測されるものから着手しましょう。
関連記事:警備員の人手不足の原因は?課題と人手不足解消の対策を解説!
警備業の2025年問題の解決にはDX化が有効!
警備業界が直面する2025年問題に対して、もっとも効果的な対策のひとつが、ロボットやAIの導入、システム導入などのDX化です。ここでは、DX化の重要性や具体的なメリットについてご紹介します。
警備業のDX化とは?重要性は?
DXとは、デジタルトランスフォーメーションの略称で、ロボット・AI・システムなどのデジタル技術を活用して、従来のアナログな手法をデジタルに置き換えることを指します。警備業界ではDXの遅れが深刻化しており、業務効率化と生産性向上のために早急な対応が求められています。
警備業のDX化は、警備員の勤務管理や報告、顧客とのコミュニケーション、警備機器や設備の管理など、警備業に関わるすべての業務をデジタル化することを意味します。これにより、警備の安全性を高めるとともに、コストやリスクを削減する効果が期待でき、2025年問題への有効な対策となります。
DXの推進によって得られるメリット
DX化によって得られる具体的なメリットとしては以下があります。
・人手不足の解消
AIやロボットの導入により、人員不足を補いながら警備依頼に応えられる体制を構築できます。
・バックオフィスの効率化
クラウドベースのシステムを活用することで、情報をリアルタイムで共有し、迅速かつ正確な対応が可能になります。また、勤怠管理・給与管理システムを導入することで、バックオフィス業務の省人化も可能です。
・トラブル対応の迅速化
リアルタイムモニタリングシステムなどを活用することで、管理者が現場の状況をリアルタイムで確認できるようになります。これにより、現場でトラブルが発生した際、増員などの対応が取りやすくなります。
・警備業務のコストカット
DXによって、現場・バックオフィス双方の業務が自動化・効率化します。省人化によって、人件費を大幅にカットできる可能性があるほか、残業時間の短縮などにも効果があるでしょう。
このように、警備業界のDX化は、人手不足の解消、業務効率化、コスト削減など、多くの課題を同時に解決できる可能性を秘めています。また、余ったリソースを営業戦略の立て直しや新規事業の開発など、基幹業務に集中させることも可能。さらに、災害発生時のリスクヘッジにも有効で、業務の遠隔化により、災害時でも業務継続がしやすくなるでしょう。
2025年問題への対策にお悩みの方は、まずは自社の業務を見直し、可能な範囲でDX化を進めましょう。なお、警備業のDX化に関しては以下の記事でも詳しくご紹介しています。DX化を検討している方は、合わせて確認してみてください。
関連記事:警備業界にDXが必要な理由は?導入のメリットを解説!
警備業2025年問題の対策に!ワンタッチ警備記録システム パトログ
スタッフごとの支払いタイミングの違い、支払い方法の多様さ、手当の多さなど、警備業の給与管理は複雑です。給与管理の工数が業務を圧迫しているという方は、今回ご紹介したように、外注や給与管理システムの導入を検討しましょう。
ソニーのワンタッチ警備記録システム「パトログ」は、警備業務の効率化に効果的なシステムです。巡回ルートにカードを設置し、スマホでタッチ&タップするだけで簡単に警備報告が完了。また、警備業務のさまざまな業務を効率化する、以下のような機能も搭載しています。
・スマホをICカードに「タッチ」するだけ簡単なユーザーインターフェース
・どんな場所にも設置可能。現場に必要なものはICカードだけ
・勤怠(上下番)報告、記録、管理など警備会社の手間を削減する勤怠管理システム
・クラウド上でデータ共有ができ、リアルタイムで状況を把握できる「リアルタイムモニタリング機能」
・管理者の負荷を軽減する「自動アラート機能」
データをクラウド上で共有でき、警備員の状況をリアルタイムで確認できるのもポイント。記録したデータを請求書や巡回報告などの作成に活用することも可能です。上下番などの警備業界向けの勤怠管理システムも搭載しており、勤怠(上下番)報告、記録、管理の手間を大幅に削減できます。勤怠管理のDX化を検討している方は、導入も設置も運用も簡単な、ソニーのワンタッチ警備記録システム「パトログ」の導入をご検討ください。
製品情報:ワンタッチ警備記録システム パトログ
まとめ
2025年問題は、人材不足、高齢化、大手企業による寡占化、社会保険の適用拡大、そして技術革新への対応といった複数の課題がまとまって発生することを指します。警備業界においても、これらの問題の顕在化が予測されているため、できるだけ早く対策を行うことが大切です。ご紹介した内容を参考に、DX化の推進などを検討してみてください。